8月24日、60~90ページのルールブックを読み上げてきた(愛すべき)猛者たち6人が、七戸に集いました。
プレイされたゲームは、「Here I Stand」(GMT)です。

ルターの「95か条の論題」に端を発した宗教改革の波と、それと同期して発生していた各国の抗争、大航海時代や植民地化を見事に描き出したマルチゲームです。
まごうことなき傑作でした。
プレイヤーは、各々「プロテスタント」、「カトリック」、「イギリス」、「フランス」、「ハプスブルク」、「オスマン=トルコ」を受け持ち、勝利点(VP)を25点越えるなどすると勝利となります。
越えるための方策も各々バラバラで、プロテスタントやカトリックは自宗教の地域が一定数だとVPが得られたりします。
つまり、地域や町には、軍事的、政治的な「勢力下」と、宗教的な「勢力下」の2種類があります。

プロテスタント:パパスさん
カトリック:むつのひとさん
イギリス:ふなきさん
フランス:いたう
ハプスブルク:たんさん
オスマン=トルコ:ハラさん
が担当しました。

以下は、いたう(フランス)の視点が中心になるとは思いますが、ご了承ください。
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【第1ターン】
初期の対立状況。
フランスは、ハプスブルクとカトリックと「戦争状態」にあります。
ハプスブルクは、この時代頂点を極め、今でいうドイツとオーストリアだけでなく、スペインの王位やナポリ、シチリアの王位も継承し、頭一つ抜けています。
しかしそれ故に、敵も増えてしまう訳ですが。
それ以外にも、東から、オスマン=トルコのスレイマン率いる桁外れの大軍団が「人間の波」となって押し寄せてきています。
いたうとしては、フランス一国では太刀打ちできないので(スペインとドイツから攻められたら終わり)、異教徒ではありますがオスマン=トルコとプロテスタントに是が非でも頑張ってもらわなければならないなあと思いました。
潜在的に「敵の敵は味方」で、オスマン=トルコとは、盟友といっても良いくらい、協同歩調を採りました。
Here I Stand1
イギリスは、国内ではヘンリー8世の離婚問題などがあり、外へはまだ出られる状況にはない状況でした。
なので、国内に集中したいヘンリー8世@ふなきさんは、早速「カレーはイギリス領だから手を出すなよ」と、いたうに釘を刺しにきます。
いたうはいたうで、「カレーはフランスのものなのに。ってかイギリス自体がフランスじゃん…」などと思ったのですが、それは口に出さず、これ以上敵を増やすわけにはいかないので、了承し紳士協定を結びました。

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最初は机3枚でプレイしていたのですが、各自がルールブックなどを開くために手狭だと感じ、最終的には机4枚を並べてプレイしました。
その全景です。
まるで、16世紀の勢力図を描いた地図を囲んだ戦略会議というか演習図です。
大変壮観でありました。
Here I Stand2

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まあ、今回はお試しプレイだと割り切っていたので、1ターン目にスペインへ侵攻してみました。
そしたら、ハプスブルク軍の見事な機動の前に大敗。
軍は全滅し、名将アンヌ・ド・モンモランシーは捕虜となってしまいました(´・ω・`)
Here I Stand3


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東方では、スレイマン1世がハンガリーを手中に収めんと大軍で侵攻しました。
それを迎え撃つ、カール5世。
どっちが勝ったかは覚えていません(フランス大敗のショックがまだ引きずっていた)
Here I Stand4

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次のターン。
フランス(いたう)は早くも窮地に陥りました。
軍隊の半分が壊滅、指揮官はフランソワ1世のみ。
そして、状況は何も改善されておらず…。

ここでいたうに出来ることはと考え。
フランス王室のメンツなどかなぐり捨てての土下座外交をして回ることにしました。
まずは、破門が怖いので(獲得カード-1枚)、ローマ教皇に土下座して和解し、終戦。
カトリックは戦争に勝利したことになり、1VPを獲得しました。
そして、ハプスブルクには、多額の身代金を支払い、モンモランシーを返してもらいました。
その額、手札一枚ランダムに奪われるというもの凄い金額です。
Here I Stand5
これにより、このターンのフランスの手札は4枚。
ハプスブルクは、身代金や、インカ帝国を滅亡させて獲得した財宝などを含み、何と8枚(!)
とてもではないが太刀打ちできないので、このターンは、兵力を補充したりフランスとハプスブルクの国境沿いにあるロレーヌ地方のメス(メッツ)を占領し、カード枚数を増やすのと、海外へ植民地を増やしたり探検航海を行うことに、4枚を費やしました。

他の陣営はどうだったかというと。
オスマン=トルコ(ハラさん)は、ブダペスト辺りで侵攻が止まり停滞。そこで睨みあっています。
なので、いたうの「陸がダメなら海から攻めればイイじゃない」(フランス伝統の言い回しなのか?)と、進言を受け入れた大帝は、チュニジア周辺で海賊を蜂起させ、海賊バルバロッサが登場。
地中海を海賊行為で荒らしまわろうとしました。
これに危機感を感じたハプスブルク(たんさん)は、海軍を増強。
手札が豊富にあるといっても、各方面に対応を迫られ、楽をさせてもらえません。
いたうには願ったり叶ったりでした。

イギリス(ふなきさん)は教皇に離婚を承認され、離婚が成立。
その後次々と結婚と離婚を繰り返し、男児を求め続けます。
さらには、外部的にも安定していたので、余裕で海外進出を進めていきました。

プロテスタント(パパスさん)は、地道に聖書を翻訳したりしながら宗教圏を広げていきます。
論争になれば、ルターが「Here I Stand(=私はここにいる)」と叫び、論争の矢面に立ちます(カードの効果)
そして、その精緻な理論の前にカトリックの理論家が惨敗し、何人もの理論家が論争界から追い出されプロテスタントは名声を獲得して行きます。
そのルターの姿は、まるでウ○トラマンか仮○ライダーのようでした。
しかし、対するカトリックも、黙ってはいません。
カトリック(むつのひとさん)による反宗教改革運動や、焚書やプロテスタント指導者の破門などにより、足を引っ張られ、一進一退を繰り返していました。
どちらも、宗教運動に手一杯で、それ以外に手を出す余裕などなさそうでした。


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第3ターン。
「シュマルカルデン同盟」が成立され、プロテスタント諸侯と諸都市が反皇帝を叫び立ち上がりました。
Here I Stand6
これにより、ハプスブルクはオスマン=トルコ(東側と地中海側と)、フランス、プロテスタントと、内にも外にも敵が生まれ、まさに内憂外患でした。
ここでいたうは、アントワープをフランスに譲り渡すことを条件にハプスブルク勝利での終戦を提案しましたが、ハプスブルクは拒否。
しょうがないのでフランス(いたう)は、ハプスブルクにはこちらへ割ける兵力もカードの余裕もはないことを把握した上でアントワープへ侵攻し、占領。
しかし、国内を整え終わろうとしていたイギリスが気になり始めたフランス(いたう)としては、終戦したかったんですが。
交渉次第で、こちらの勝ちにしてくれるなら、アントワープは諦めていたところでは、ありました。
スペイン方面は、名将モンモランシーを駐留させ、睨み合い状態。
現状維持で由としましょう。
オスマン=トルコ方面やプロテスタント同盟軍が苦戦した場合にはスペインに攻め込み側面から援助したいという狙いもありました。

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この時代の状況図です。
スペイン国境では睨み合い。
いたうがアントワープを占領。
プロテスタントは、兵士の影響力でカトリックからプロテスタントに転向させ易くする為に、ドイツ南部へ侵攻。
良い具合にアントワープとカール5世の間に入り、防壁となっています。
でも、目の前のスレイマンを放置して西へ行く訳にもいかず、苦しいところ。
地中海では、オスマン=トルコ海軍とハプスブルク海軍(スペイン艦隊)が大規模にぶつかりますが、オスマン=トルコが勝利し、海賊行為を連発して、VPを獲得して行きます。
海賊行為は、戦争状態でない国にも行えて、海賊行為に成功すれば、「VP」か「海軍兵力を1減らす」か、「手持ちのカード一枚与える」(町が略奪され財宝を奪われたことを表現)かを選ばなければならず、積み重なると結構効いてくるようでした。
気持ち的には、いいぞー、もっとやれーという気持ちでした(・∀・)イイゾー、モットヤレー!!
Here I Stand7

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第4ターン。
時間でいけば、このターンが最終ターンとなると思われます(最大9ターン)
7~8時間で半分くらいまでしかいかないとは…。
噂に聞いていましたが…。
ここでいたうはVPで抜け出すために、イタリアで中立勢力のままでいたフィレンツェを奪いにいきました。
イギリスが宣戦布告してくるかなと思ったのですが、してこなかったため(スコットランド平定などもあったでしょうが)に、フィレンツェを奪いにいきました。
Here I Stand8
アルプスを越えるフランス軍。
この間、「ローマの略奪」などを行いましたが、失敗しました。

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フィレンツェと、スペインのバレンシア(?)を占領し、VPの差でいたうがトップでゲーム終了しました。
Here I Stand10

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(感想)
素晴らしいの一言。
皆さんを魅了してやまない理由が分かりました。
ルール量は多く、細かいですが、一つ一つは納得できるものばかりで、カードドリブンシステムのおかげでこれだけのものを表現しているのにプレイできないほど煩雑になっていないのは凄いと思いました。
各陣営の「挙動」も史実に沿ったものになりやすく、何故そうなったかということが自然と身を持って体験できる(思い知らされる)というところも、素晴らしいと思いました。
ゲームをやりながら歴史を学べる、追体験した気になれると思いました。
ゲーム時間ですが、4ターン目から始めるシナリオで始めれば、七戸会の時間内でも最後まで十分にプレイできる範囲と思いました。
またやりたいというか、何度も重ねてやりたいと思わせるだけのモノを持った素晴らしいゲームであると思いました。

今回はこれでお開きとなりました。
参加していただいた皆さん、ありがとうございました!
またよろしくおねがいします(・∀・)!